インプラントは基本的に自由診療ですので、費用が高額になりがちです。
もし保険適用の範囲内で治療が可能なら、インプラント手術を受けたいと思っている人は多いのではないでしょうか。
実は、インプラントでも保険が適用できるケースがあります。
通常の虫歯や破損による欠損などでは保険は適用できませんが、以下のような症例に限り、インプラント治療に保険が適用できます。
・先天性の疾患により、顎骨の1/3以上が欠損している
・先天的に顎骨が形成不全である
・事故や病気により顎骨が欠損している
一般的な歯科医院では、保険適用のインプラント治療を受けることができません。
上記の保険適用条件を満たした上で、さらに以下条件を満たす歯科医院施設で治療を受ける必要があります。
・20床以上の入院用ベッドがある
・インプラント治療の経験が3年以上、または歯科・口腔外科で5年以上の経験がある常勤の歯科医師が、2名以上いる
・当直の体制が整備されている
・医薬品や医療機器を安全に使用できる体制が整備されている
上記のような設備があるとなると、大学病院になるでしょう。必要な場合には、当院からのご紹介も行なっております。
このように、保険適用でインプラント治療を受けることができるケースは非常に限られています。虫歯や加齢により歯を失い、インプラント治療を希望する場合は、保険ではなく医療費控除の利用を検討しましょう。
先進医療とは、厚生労働省により将来的に保険導入が検討されている、先進的な医療技術のことです。医療保険では、生命先進医療特約としてさまざまな保険商品が用意されています。
対象となる先進医療は随時変動しており、治療を受けた時点でその対象になっている必要があります。
インプラントは残念ながら、2012年4月1日以降は先進医療の対象外となっています。
医療費控除とは、年間支払った医療費に対して受けられる所得控除のことです。1月1日から12月31日までの1年間で支払った医療費が、10万円を超える場合に一定の還付金を受け取ることができます。
インプラント治療の費用を支払う時に値段が安くなるわけではありませんが、翌年確定申告をすることで支払ったお金の一部が還付金として戻ってくるという仕組みです。
還付金は所得税と住民税の2つに分かれています。
医療費控除は、以下の計算式で算出できます。
(医療費総額-保険金補填額)-{10万円(※1)}=医療費控除額(※2) |
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※1:年間の所得額が200万円以下の場合所得額の5%
※2:最高200万円
所得税・住民税が具体的にいくら還付されるのかは、所得金額によって異なります。国税庁のホームページを参考に計算する必要があります。
医療費控除制度は、確定申告の際に「医療費控除の明細書」に必要事項を記入して、「確定申告書」とともに税務署に提出することで受けることができます。
また、健康保険組合などが発行する医療費のお知らせ(医療費通知)を添付することで、「医療費控除の明細書」の明細記入を省くことが可能です。
国税庁のホームページには医療費控除の明細書の書き方や、手続きに関する詳しい説明が記載されていますので、参考にしてみてください。
▶医療費控除の準備(国税庁)
▶医療費控除の明細書の書き方(国税庁)
▶医療費控除に関する手続について(Q&A)(PDF/608KB)
医療費控除を受けるために、確定申告の際に以下の書類を用意して税務署に提出します。
・確定申告書
・医療費控除の明細書
・医療費のお知らせ(医療費通知)※あれば
・交通費などの領収書
・源泉徴収票
大学病院などではない歯科クリニックでインプラント治療を受ける場合、多くは保険の適用外となります。領収書などをきちんと保管し、医療費控除を利用しましょう。